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高血圧の薬は一生飲まないといけない?
よく高血圧の治療をしましょうと言うと、「でも高血圧の薬は始めたら一生やめられないのですよね?」といわれることがあります。ここではそのことについて説明したいと思います。
<そもそも高血圧とは>
高血圧とは文字通り血圧が高いことですが、そもそも高血圧の原因は、一部の例外を除いて簡単に一言でいうと「血管の老化」です。「血管の老化」を早める原因には遺伝因子と環境因子があります。環境因子はストレスや喫煙、肥満、塩分の取りすぎなどです。
<血圧の薬はなぜやめられないのか>
本題です。繰り返しになりますが、高血圧の原因は簡単にいうと「血管の老化」です。血圧の薬は血圧を下げているだけであり、「若返りの薬」ではないので、薬をやめると血圧はもとにもどってしまいます。そのために血圧の薬は飲み続ける必要があります。
では薬をのむ以外の高血圧の原因治療についてですが、まず遺伝因子は現在の医療では治療できません。環境因子については、減塩や肥満の改善、禁煙、運動、ストレスを避けることなどがありますが、簡単に実行できないことがほとんどであり、できたとしても血圧を下げる効果は限定的であることが多いです。そもそも血圧が上がってきたときには「血管の老化」が進んでしまっているので、環境因子の改善で進行を遅らせることはできるかもしれませんが、もとにもどす(若返り)ことは難しいのです。
<血圧の薬は一生そのまま続けないといけないのか>
では一度飲み始めた血圧の薬は一生そのまま続けないといけないのでしょうか?もちろんそうではありません。生活習慣の改善によって薬をやめられないまでも減らすことはできるかもしれません。また寒い冬の時期は血圧が高くても、夏の暑い時期には血圧が落ち着いていれば薬を中断できる方もいます。また年齢を重ねると血圧の目標値が少し緩和されるので薬を減らしたほうがよい場合もあります。そのほかには自分に合った血圧の薬に変えることで薬の量や種類を減らすことができる場合もあります。
<なぜ症状もないのに高血圧を治療しないといけないか>
どうして症状もないのに血圧を下げないといけないのでしょうか。それは高血圧が脳卒中、慢性腎臓病、心筋梗塞、心不全の主要な原因であるからです。つまり高血圧の症状とは脳卒中や腎不全、心不全の症状がでることですので、症状がでてから治療するのでは遅すぎます。症状がでる前から高血圧を治療し、脳卒中や腎不全、心不全になるのを予防することが重要です。
<例外的な高血圧>
最後に例外的な高血圧についてです。若いひとや、急に悪化した高血圧の原因の中には「血管の老化」以外にホルモン異常や腎臓や脳などの内臓の異常が隠れていることがありますので、その場合にはまずは原因を調べることも重要です。代表例は原発性アルドステロン症、バセドウ病、腎動脈狭窄症などの腎血管性高血圧、睡眠時無呼吸症候群などです。気になる方は当院にお気軽にご相談ください。