腎臓内科

腎臓内科について

当院は腎臓病の早期発見、治療、予防を呼び掛けています。
腎臓病といっても馴染みがないと思われるかもしれませんが、腎臓は体の水分量やホルモンの調整を行うことで血圧を調節している臓器であり、高血圧と腎臓病は密接に関係しています。また、腎臓の働きが慢性的に低下した状態である慢性腎臓病(Chronic Kidney Disease)は略してCKDと言われ、日本人の1300万人以上(成人の約13%)が患っているという推計があります。そのため、慢性腎臓病(CKD)は「新たな国民病」として注意喚起されおり、誰にとっても無縁な疾患ではありません。また、CKDの半数以上は糖尿病に起因することもわかっています。
CKDは初期には症状が出ないことが多いので、気付かないうちに重症化することも多い病気です。しかし、近年は投薬による治療も発達していますので、出来るだけ検診を受け、早期に発見することが重要です。職場などで健診を受けている方は、尿蛋白や尿潜血のほか腎機能低下などがあった場合、早めに当院にご相談ください。

こんな症状
ございませんか?

  • 身体がむくむ
  • 血圧が高い
  • 頻尿、多尿
  • 尿に血が混じっている
  • 背中が痛い
  • 尿が泡立つ

※その他の症状で気になることがありましたら、お気軽に当院までご相談ください。

よくある主な疾患

  • 血尿

    血尿は名称の通り尿に血が混じる状態です。トイレなどで見てわかるほど赤い尿が出る場合以外にも、顕微鏡で見なければわからない程度に混じっている場合もあります。
    健康診断で『尿潜血陽性』を指摘されても特に治療を必要としないケースも多いですが、尿路結石や腎細胞癌、膀胱癌や膀胱炎など、腎臓や泌尿器の疾患に由来する可能性もあります。
    どの疾患であっても早期に治療したほうが良いですから、検診で指摘された場合や、思い当たる症状がある場合は早めにご相談ください。

  • 血尿を調べる検査

    尿潜血(尿に血液が混じる状態)がある場合、より詳しい尿検査を行い、癌細胞が含まれていないかなどを確認します。また、超音波検査で膀胱や腎臓に血尿の原因となる異常がないかを確認します。患者様にとって身体的負担が少ない検査です。
    この検査で得た情報で治療に進むこともありますし、さらに検査が必要であれば、血液検査の項目を追加して状況把握に努めます。

  • 蛋白尿

    健康な人でも、激しい運動の後や蛋白質を摂取しすぎたときには尿に蛋白が混じる場合もありますが、一定量を超えて蛋白が混じるときには腎臓にトラブルが起こっている可能性があります。
    腎臓の疾患は初期には症状が出ないことが多いので、不調に気付いた時には悪化していることが珍しくありません。検診などで異常を指摘された場合は早めにご相談ください。

  • 蛋白尿を調べる検査

    蛋白(たんぱく)尿が見られる場合、当院ではまずより正確な蛋白の量を確認します。蛋白尿を認めた場合に、疲労やストレスのせいなどと言ってごまかすことがありますが、特に根拠はありませんので詳しく検査する必要があります。
    1回の尿検査では判断できないことも多いので、複数回尿を取ることもありますし、血液検査や超音波検査を併用することもあります。

  • 腎不全

    腎臓の働きが正常でないと、体の中にある老廃物の排出がとどこおります。この状態が悪化し腎不全になると、人工透析や腎臓移植が必要となるので、早めに対処することが重要です。
    腎不全に対しては、急性の場合は適切な治療を行えば改善につなげられることがあります。一方、慢性化してしまうと治癒ではなく、悪化を防止するための治療や日常の注意点などへの指導に移行します。

  • 腎不全を調べる検査

    腎臓の機能が低下していることは、血液の中に血清クレアチニン値を見ることで確認できます。また、eGFR(推算糸球体ろ過量)という値も腎機能を確認することに使用可能です。
    eGFR(推算糸球体ろ過量)が低いということは腎臓の働きが低下しているということであり、腎臓に何らかのトラブルが起こっている可能性があります。

  • 慢性腎臓病 (CKD)

    慢性腎臓病(CKD)の治療は、食事を含む生活習慣の改善や投薬、検査などを総合的に行う必要があります。生活習慣に関しては、肥満の改善や塩分の管理のほか、たんぱく質やカリウム、リンや水分を管理する必要があります。進行状態に合わせて具体的な数値がありますので、栄養バランスも含めてアドバイスしていきます。
    生活習慣の改善と並行して行う投薬では、血圧の調整や老廃物の排出、貧血の治療やイオンバランスの調節など、状況に応じてさまざまな目的の薬剤を処方します。
    検査についても多数の種類があるので、下記に記載します。

  • 慢性腎臓病を調べる検査

    糸球体腎炎のように生活習慣病以外が原因となる慢性腎臓病もあるため、血液検査や尿検査、超音波検査で腎臓の状態を確認し、まずは原因を探ることが重要です。
    慢性腎臓病の原因をより詳しく調べるためには腎生検が必要になることがありますので、その際は検査可能な専門病院へご紹介いたします。

  • 多発性嚢胞腎(ADPKD)

    多発性嚢胞腎(ADPKD)は遺伝的な疾患で、年齢が上がるとともに腎臓の両側に体液が入った嚢胞(袋)ができます。嚢胞は大きくなるだけでなく数も増え、腎臓の機能が低下していきます。60歳までに半数程度の方が、人工透析が必要な状態となることも知られています。
    当院では、多発性嚢胞腎の疑いが見られる場合、検査・診断を行い、必要に応じて適切な治療が受けられる病院へとご紹介を行っております。

  • 多発性嚢胞腎を調べる検査

    多発性嚢胞腎(ADPKD)は遺伝性の疾患ですから、疑いがある場合はまずご家族に同じ症状の人がいないかお伺いします。さらに、腹痛や血尿、むくみや血圧値、心音など、症状や検査値も重視しますし、超音波検査などで得られる画像から嚢胞の状態も確認します。

よくある質問

腎臓内科の治療方法にはどのようなものがありますか?

食事や運動療法と薬による治療があります。腎不全の末期の場合には透析治療や腎移植が必要になります。

腎臓病はどうやって予防できますか?

まずは腎臓を悪くしている一番の原因を調べて治すことが最も重要です。ただし原因は一つでなかったり、遺伝であったり、特定できないこともあるため、高血圧や糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病の治療および予防も併せて行うことが重要です。

慢性腎臓病は治療でよくなりますか?

慢性腎臓病とはゆっくりと時間をかけて少しずつ腎臓が悪くなっていく病気のことです。
顕微鏡レベルでは腎臓の内部が破壊されて再生できない状態になっているため、現在の医療では交通事故で失った手足がもどることがないのと同じで腎臓がよくなることはありません。
そのため慢性腎臓病の治療は、腎臓をよくすることではなく、できるだけ悪くならないようにする治療です。
ただし、一時的に急に腎臓が悪くなった場合には、ある程度改善する可能性はあります。
また、検査の数値だけ改善しているように見えることがあるので注意が必要です。
今後、再生医療が発達し腎臓をよくする治療法が開発されることに期待したいです。

血尿が出た場合、どのような疾患の可能性がありますか?

生理中などでなければ、血尿は尿路(腎臓、尿管、膀胱、尿道など)のどこかから出血していることにより生じます。膀胱炎や結石、腫瘍など様々な疾患の可能性があります。
蛋白尿も同時にでている場合には糸球体腎炎など腎臓の病気の可能性が高くなります。

蛋白尿の数値が一定量を超えている場合、どのような疾患の可能性がありますか?

蛋白尿は糸球体腎炎などの腎臓そのものの病気や、高血圧や糖尿病などの生活習慣病による合併症として腎臓に負担がかかり慢性腎臓病となることででる場合があります。

多発性嚢胞腎の遺伝はどのくらいの確率ですか?

両親のどちらかが多発性嚢胞腎の場合、50%の確率で遺伝します。
ただし、多発性嚢胞腎の患者の約5%では両親に疾患がない孤発例の方もいます。

多発性嚢胞腎は予防できないのでしょうか?

遺伝性疾患であるため完全に予防することはできませんが、進行を遅らせる治療はあります。

多発性嚢胞腎は完治しますか?

遺伝性疾患であるため治ることはありません。
そのためできるだけ早期に発見し、病気と付き合いながら進行を遅らせる治療を続けることが重要です。
とくに、トルバプタンというお薬は服用を続けることで嚢胞の増大抑制と腎機能低下速度の抑制効果が認められています。

人工透析とは何ですか?

腎不全になり腎臓が機能しなくなると生命に危険が及ぶため、その前に腎臓の働きを何らかの方法で補う必要があります。
人工透析とは人工腎臓が腎臓の働きの代わりをする治療です。そのため、他人の生体腎を使用する腎移植治療も含めて腎代替療法とも呼ばれます。